ここ最近、芸能人や有名人などのカミングアウトにより、パニック障害という言葉もある程度浸透してきました。

 

以前はパニック障害という言葉も浸透しておらず、「全般性不安障害」「心臓神経症」「不安神経症」といった別の病名で診断されていたこともあります。

 

詳しくはこちらもご覧ください。

パニック障害に似ている病状一覧

 

この「パニック障害」というこころの病は、

 

“古くて新しい病”ともいえるものです。

 

古くは江戸時代にはパニック障害的な病状も確認されており、病名自体はなかったものの、その時代からパニック障害に苦しんでいた人もいるようです。

 

パニック障害というのはなんの前触れもなく突然、動悸や身体の震え、呼吸が苦しくなる、めまい、吐き気やお腹の痛み、冷や汗やほてり、離人感、思考力低下、強烈な不安感、恐怖感などが起こるものです。

 

ほどなくしてツラい状態は収まっていくのですが、その後もある程度の感覚をおいてくり返していきます。

 

いつ起こるかわからず「また起こってしまうのでは・・・」という不安感がどんどん高まっていき、そのために行動自体が制約されてしまいます。

 

なんの問題もなく行けていた場所、例えば会社や学校、デパートやコンビニ、歯医者などに行けなくなってしまうこともあり、社会に溶け込めなくなってしまうことも多々あります。

 

 

「パニック障害」という名称の生みの親

「パニック障害」という名称が生まれる前は、長い間、心臓神経症、不安神経症、全般性不安障害、低血糖、過換気症候群といった病名として扱われてきました。

 

ですが、どの病気とも少し違う違和感を感じとり、他の病名とは違う、はっきり区別すべきと異を唱えたのがニューヨークの精神科医、クライン博士でした。

 

そしてその後、クライン博士は1960年代に「パニック障害」と命名しました。

 

クライン博士の発言に異を唱える者もいましたが、クライン博士が「パニック障害」を訴え続けた結果、1980年代にはアメリカの精神医学界で広く認められるようになります。

 

そしてとうとう1990年代の初め、世界保健機構(WHO)国際疾病の分類に「パニック障害」という病名が登録され、世界的に統一して使用することが決まりました。

 

日本で「パニック障害」という病名が扱われはじめたのは、2000年の後半と言われており、医師も次第に「パニック障害」の診断を取り扱うようになりました。

 

日本において「パニック障害」の病名はまだ比較的新しい分野であり、21世紀のこころの病と言えるかもしれません。

 

 

パニック障害はなぜ起きるのか?

いったいなぜ、このような「パニック障害」というのは起こるのでしょうか?

 

いま現在、アメリカを中心にいろいろな国でパニック障害の研究がおこなわれていますが、パニック障害が起きる原因などについては完全に解明されていません。

 

引き起こされる理由としていま一番主流となりつつあるのが、脳内の神経伝達物質の機能に異常が生じて起こる、というものです。

 

脳内の神経伝達物質として現在は30種類ほどありますが、パニック障害に関係があると言われているのが、その中でも、「ノルアドレナリン」と「セロトニン」と言われています。

 

詳しくはこちらもご覧ください。

⇒ノルアドレナリンとはなにか?

⇒セロトニンとはなにか?

 

 

脳がシステムエラーを起こしてしまう

ノルアドレナリンという物質は脳の中枢系での働きを主としており、怒り、イライラ、不安、怖さ、やる気などの情動や感情に強い影響を与えると言われています。

 

自分の身に危険が迫ったときや緊迫した状況では、脳幹にある「青斑核」という部分から分泌され、危険を回避するために働きます。

 

ですが、パニック障害に至っては、なにかしらの原因でこの「青斑核」がエラーを起こしやすくなってしまい、危険な状況ではないのにも関わらず作動してしまい、ノルアドレナリンを分泌するために各種さまざまな症状が現れてしまう、と考えられています。

 

「青斑核」がエラーを起こしてしまいノルアドレナリンが分泌されると、「大脳辺縁系」という部分に興奮している状態が伝わります。

 

その「大脳辺縁系」からさらに視床下部という部分にその興奮が伝わり、視床下部には自律神経の中枢があるため、そのバランスが崩れ、動悸、震え、発汗や息切れなどの自律神経にまつわる症状が現れる、とされています。

 

 

このようなステップを踏み、パニック障害は脳のシステムエラーから神経伝達物質の分泌に異常をきたして引き起こされる、という説が有力となっています。

 

 

パニック障害になりやすい人とは?

 

男性よりも女性に多いパニック障害

「生涯有病率」という言葉があります。これは、人間の一生涯にたいしてどのくらいの割合で病気にかかるのか?という割合のことです。

 

この「障害有病率」はもちろんパニック障害においても世界各国で研究がされています。

 

世界各国の研究結果の報告にはバラつきがありますが、だいたいが60人に1人の割合でパニック障害が発症する、と述べています。

 

学校などのクラスで換算すると、約1~2クラスに1人はいるという割合になります。

 

男性と女性の発症比率ですが、男性1:女性2という比率になっています。女性のほうが男性よりも発症する確率が2倍近く高いようです。

 

年齢的にみると、最も多いとされているのは、20代での発症と言われており、その次に多いのは、30代の半ば頃と言われています。

 

10代で発症する人もいれば50代で発症する人もいて、そういう意味では比較的、いろいろな年代に見受けられるとも言えます。

 

 

なぜ男性よりも女性のほうがパニック障害にかかりやすいのか?についてははっきりとしたことはわかっていません。

 

 

パニック障害に陥りやすい人の特徴

パニック障害が発生する人、その多くは自分では処理しきれないストレス負荷がかかっていると言えます。

 

ストレスの原因にもいろいろありますので、パニック障害が発生する人が抱えやすいストレスについてお話をしていきましょう。

 

一生懸命、生真面目すぎる人

物事をとにかく一生懸命にこなす、生真面目にこなす、というのは社会的に見ても良いことだと思う風潮があります。

 

たしかにとことん集中して一生懸命に物事をこなすことは素晴らしいことであり、それにともなう品質や評価は高いものになるでしょう。

 

ですが、なにごとも「過ぎる」ということは、あまりよろしいことではありません。

 

一点集中し、期間が決まっている場合の一生懸命であったり生真面目さは良いのですが、それがいかなる場合にもそれであると、精神や心理的な状況とは別に、身体がついていかなくなります。

 

後述しますが、その一生懸命過ぎる裏側に、

 

「私がやらなければならない~」

 

「物事は必ず常に一生懸命でなければいけない」

 

というような隠された命令が潜んでいると、どこかで必ず無理が生じ、結果的にパニック障害が発生してしまうことになりかねません。

 

「~でなければいけない」という命令を自分に課している人

 

「~しなければいけない」

「~でなければならない」

 

というような、常に自分自身に対し無意識で命令を自分に課している人は多いものです。

 

上記でも挙げたように、一生懸命であったり真面目というのは悪いことではなく、素晴らしいことです。

 

ですが、それが度を超してしまうと常に自分に無意識でプレッシャーをかけるようになり、一生懸命完全に、完璧にできないといけない、という状態になることが多々あります。

 

人間は本来、完全であるとか完璧である、というような状態で居続けることはできません。

 

その日の体調やコンディションによってはやる気やモチベーションなども左右される生きものあり、それこそが当然の姿と言えるでしょう。

 

また、上記のように「~しなければならない」というような自分に命令を課してしまう人、その多くは幼少期の親や周囲の大人との関係性でそのような無意識での考えに至ってしまうことがほとんどです。

 

詳しくはこちらもご覧ください。

⇒「~しなければならない」人に起こった幼少期のできごと

 

他者に気を遣いすぎる人

本来人間は自分優先であるのが当然の姿です。自分のために食べ、自分のために寝て、自分のために生活し、自分のためにお金を稼ぎ、自分のために生きる。

 

こういった姿が本来のものであり、それは動物が持つ本能的なことにも由来します。

 

社会的には良く、

 

「自分よりも他者を優先させる」

「相手を立てて自分は控える」

「相手が先で自分は後回し」

 

というような標語があり、ひとつの美学のような感覚で使われています。

 

たしかに自分を抑え相手を優先する、という考えは良い風習であり美学でもあり、それによって人間関係そのものが円滑になる場合は多々あるでしょう。

 

ここで言う「他者に気を遣いすぎる人」というのは、過剰なまでに相手を優先にし、自分のことをほとんど省みない状態のことを指しています。

 

そして、知らず知らずに相手を優先してしまうことからいつも間にかフラストレーションが溜まり、気づいたらストレスでいっぱいいっぱいになっていた、ということも珍しくありません。

 

「この世界に自分が生きている意味、主役は誰なのか?」

 

ということを一度冷静に考え、しっかりと府に落とすことが必要です。

 

疲れすぎている人

日々の仕事や家事、勉強、人間関係、子育て、付き合いごと、など、この世界には日々疲れる要因がたくさん溢れています。

 

自分では何気なくこなしているつもりでも、気がつかないうちに疲れからくるダメージは蓄積され、思いもよらないほど溜まっていることはあるものです。

 

また、

 

「人間は生きているだけでご苦労さん」

 

とも言われるように、ただ生きているだけでもかなりご苦労なこと、疲れてしまう状態です。

 

日々の蓄積による疲れはリフレッシュさせたり身体を休めることで取れていきますが、問題なのは自分の疲れに気がつかない、見えていないときです。

 

そういった人は、元来無理をしやすい性格であったり、疲れ過ぎるまでガンバルのが自分の本来の姿、ガンバっていることを認められたい、褒められたい、というような無意識での欲望があることが大半です。

 

いかに自分の疲れに気づくか?または、無理しないでも自分には十分な魅力があることに気がつくことがとても大切です。

 

詳しくはこちらもご覧ください。

⇒疲労回復に役立つリフレッシュ法5選

 

敏感過ぎる、感受性が強い人

全員ではありませんが、なにかしらの物事にたいして敏感に反応してしまったり、感受性が強い人というのもパニック障害が発生しやすい傾向にあります。

 

敏感な体質であったり過敏というのは、いわば繊細であったり神経質気味なところがあるということです。

 

感受性が強いというのは、ちょっとした刺激でも自分のなかの感情が揺り動かされ、その感情に飲み込まれやすいとも言えます。

 

普段の生活に支障が無い範囲で敏感であったり、感受性が強ければ良いのですが、こちらも度を越してしまっていると、その状態自体がツラく、苦しくなってしまうものです。

 

敏感過ぎる人、感受性が強い人に多く見受けられる特徴として人の目を非常に気にする、ということがあります。

 

他者の自分に向けた一挙手一投に敏感に反応し、相手はそう思って投げかけたわけではないことを自分のなかで間違った解釈をしてしまい、それにより傷ついていることも多々あります。

 

このような他者とのやりとりにおいて敏感に反応してしまうことは、ストレス負荷が高く、フラストレーションが溜まりやすいものです。