パニック障害専門カウンセラーの三木ヒロシです。
パニック障害においてもっともやっかいでありとてつもなく嫌なものとして、
「予期不安」
があります。
「パニック障害は最終的に予期不安との闘いだ」
という言葉もあるように、パニック障害の完治、改善において予期不安をどのように対処していくか?というのはとても大きな課題と言えます。
予期不安というのはその名の通り、未来に起こるかもしれない不安の塊を予期してしまい自分で自分を怖がらせている思考のことです。
予期不安はじっとりとまとわりついてくるかのごとく思考に浸透していきます。考えないようにすればするほど考えてしまい、予期不安の罠にハマっていってしまうんですね。
ふっと湧きあがりなかなか離れない予期不安。それをうまく解消させていくためにはどのような対処法があるのでしょうか。
世の中にある予期不安の対処法は間違えている!?
予期不安の対処については諸説あり、いろいろな技法や手法があります。それはテクニックであったりノウハウであったりと様々です。
もちろんそうしたテクニックやノウハウというものは大切であり予期不安を解消させていくための力になるものです。しかし根本的な部分を間違えてしまうと逆に予期不安が強まってしまったりちょっとしたトラウマになってしまう可能性もあるので慎重におこなう必要があるんですね。
ここで言う根本的な部分、それはなにかというと、
「感情」
のことです。
人間はどの生きものよりも感情が豊かであり様々な感情を有しています。そしてその感情は感じかたによっては薬にも毒にもなってしまうものです。
感情の取り扱いはできるだけ繊細に、優しく扱う必要があるんですね。もちろん予期不安というのも感情です。その感情をいかに繊細に扱っていくかで予期不安の解消度が変わっていきます。
ではいったい、どのようなことが繊細な取扱いにあたるのか?それは、
“いま胸にある感情を認め肯定し、それを感じている自分許す”
ということなんですね。
感情にはある大きな特徴があり、それは「認めて肯定し許すと小さくなり、認めず否定し許さないと大きくなる」というものです。
よく耳にすることなのですが、フッと不安や怖さが湧きあがったときに「大丈夫大丈夫!」「落ち着け!大丈夫だから!」というような言葉を使い感情を鎮ませようとする行為。
実はこの行為、意に反して感情が大きく膨らむことが多く、コントロールができない状態になることが多々あります。
これはまったく大丈夫ではない状態であるのに大丈夫と言い聞かせることにより無意識で感情が混乱してしまい、暴走を始めてしまうんですね。
ですのでしっかりと感情をコントロールするため、予期不安の対処にまず必要なことは感情を認め肯定することでありその感情を否定しないことです。
感情を認め肯定する方法とは?
「湧き上がった感情を認め肯定する」というのは頭では理解できますが、いざそれを実践するとなると躊躇しやすいものです。
つい無意識に「大丈夫」や「落ち着け!」という言葉を使ったり考えてしまいますよね。
よく誤解されることなのですが、
「感情をそのまま認めてしまったらさらに感情が暴走してしまうのではないか?」
と考え疑問に思い躊躇してためらってしまう時。変な話ですが、そう考えてしまうのは無理のないことであり正常な思考だと思います。
ですが先ほどもお話した通り、少しだけ勇気をもって感情を認め肯定し許してしまうことであっけなくその感情は鎮まり解消されていきます。
多少の慣れは必要なのですが、これをくり返していくことで無理なく慣れていくことができるでしょう。
では、実際に感情を認めて肯定する方法とはどのようなものなのでしょうか?それは、
「私は怖い。怖くても良い」
というように言葉に出し、湧き上がった感情に対して素直に認めてしまうんですね。ただその感情を認め、しっかりとそれを感じてみるだけです。
ポイントは出来るだけ言葉に出すこと。言葉というのは声として外側に出ていきますが、耳から改めて内側に入ってきます。
しっかりと感情を認めて肯定する言葉を出していくとあなたの潜在意識は「そうか、私は別に怖くても良いのだ」と納得し、それが感情を抑制し消えていくカギとなりますので。
言葉の重要性や大切さなどを理解することはパニック障害改善を目指すうえでは必要なことです。合わせて下記の記事も一緒にご覧ください↓↓↓↓↓
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慣れるまではわかっていても頭が感情を認めることに追いつけず、うまくいかないこともあるでしょう。
先ほどもお話しましたが大切なポイントは慣れることです。感情を認め受け入れていけば受け入れていくほど嫌な感情が消えていく割合は断然高まります。
予期不安の対処に絶対必要な2つのコツとは?
予期不安の対処にはまず感情を肯定してそれを許すということをお話しました。
感情を肯定し許すだけでも効果があり、慣れてくるとそれだけで不安や怖さなどがピタっと止まることもあります。
そして、その感情を認め肯定することをベースにおきながらツラく苦しい予期不安に対処するために必要な2つのコツについてお話していきましょう。
タイトルにもあるように、予期不安の対処に必要な2つのコツとは、
・感情を肯定しながら呼吸法を実践する
・感情を肯定しながら意識を逸らす
となっています。
パニック発作において呼吸法を取り入れるのはとても大切ですが、予期不安にも呼吸法が功を奏します。
そしてパニック発作の対処において基本の動作である「意識を逸らす」という行動ですが、こちらも予期不安に効果があります。
ではひとつずつご説明をしていきましょう。
・感情を肯定しながら呼吸法を実践する
感情を認め肯定しながら呼吸を整えるために呼吸法を実践します。呼吸法がしっかり身につくと自律神経を整えさせることができ、なおかつ自然治癒力や免疫力などが上がる効果があります。
先ほご感情のところでお話をしたように、例えば「私は怖い。怖くても良い」というようにその感情をしっかりと感じ認めながら呼吸法をおこないます。
呼吸法にもいろいろな分野がありますが、私が提唱している呼吸法に「8:6(ハチロク)呼吸法」というものがあります。
発作の解消やパニック障害の改善に特化させている呼吸法であり効果が高いものです。8:6呼吸法については下記の記事も一緒にご覧ください↓↓↓↓↓
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・感情を肯定しながら意識を逸らす
これはパニック発作の対処と同じく、意識を予期不安にもっていかないようにまったく別のことに意識を向けてしまう方法です。
人間は意識をなにかに向けるとそこに集中しそれが自分のなかで大きくクローズアップされます。
例えば、ほんの些細な心配の種だったものがそれを考え続けてしまうことで大きく膨らんでしまうように、元々小さいことだったものが意識を向けた途端に自分のなかで大きくなってしまった経験があると思います。
意識を予期不安に留まらせない、予期不安から離してしまうために意識をまったく別のところに向けきってしまうんですね。
意識を逸らし続けることによって予期不安の入り込む余地が無くなり、知らず知らずに意識を向けることが無くなっていきます。
意識を逸らすポイントはパニック発作の対処が参考になると思いますので、よろしければ下記の記事も一緒にご覧ください↓↓↓↓↓
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まとめ
精神的にも肉体的にも疲弊させられる予期不安というもの。
ですが、その対処法をしっかりと理解し実践していくことで予期不安に対しての大きな武器となりますので。
慣れるまでに多少時間がかかるかもしれませんが、パニック障害の完治や改善のためにぜひ理解して実践してみてくださいね。
パニック障害専門カウンセラー三木ヒロシ
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